カッソーロ

家族と平和をこよなく愛する平凡な男の日記。だいたい、言いたいことを書いてます。

振り込みした日

これは僕の成長の話である。世間でいう当たり前を僕は知らない。たとえば、同じATMでもコンビニのそれと銀行のそれは別物だということを。そんなことは誰も教えてくれない。誰かが言った。何事も経験。 その日、僕は労働金庫の預金を楽天銀行に移したかった、つまりは振り込みを行いたかった。将来に備えて投資信託の毎月の買付額を増やすことを思い立ったのだ。そのためには買付可能額すなわち楽天銀行の預金額も増やす必要がある。およそ4年前から始めた楽天証券投資信託の評価損益つまり儲けは約1万8千円になったところだ。総額で約22万円の投資に対して1万8千円の利益になったのだから好調といえる。今や銀行の利息なんてないも同然。メインバンクでは280万円の預金に対してわずか12円というのが現実。もはや、銀行は単なる金庫のような存在だといった妻の言葉にはまったくもって同感だ。我が家のような庶民が利息に期待できる時代は二度とこないだろう。 だからこそ、預金ではなく投資という選択肢を僕は選ぶ。経済的な豊かさを目指すなら「とりあえず貯金」という慣習から脱却すべきだろう。そう、後述する一見失敗ともいえる滑稽な行動は僕の決意のあらわれでもある。

何かに突き動かされるように後先をよく考えずに近所のコンビニに向かった僕はまず、ATMで労金のキャッシュカードを使って20万円を降ろした。なぜかって、それは至って単純な話だ。画面に『振り込み』という選択ボタンがなかったからだ。残された選択肢から最も適当と考えた僕は『引き出し』を選択したのだ。引き出しの上限額である20万円を手にした僕は、ふと考える。ところで、この現金は、どうやって楽天銀行に振り込めばいいのか。やっとわずかな違和感に気づく。しかし、この違和感を取り払うかのように思考停止状態でATMと格闘する。

何かしらのボタンを押して表示された金融機関の一覧の中から楽天銀行という文字を見つけてボタンを選ぶ。すると「キャッシュカードを入れてください」と音声が流れる。先ほど入れたばかりの労金のキャッシュカードをすかさず入れる。いやいや、待て待て、そうじゃないとさすがに気づいて中止ボタンを押す。しかし、僕は楽天銀行のキャッシュカードは持っていない。正確には作っていない。

ボタンを押す、カードを入れる、中止するという無意味な所作を3回繰り返し、やっと気づいた。

オーマイガっっっ!これってもしかして、楽天銀行のキャッシュカードを使うか、労金のATMに行くかしか、振り込みできないということか。ようやく事態が飲み込めた。

2択がゴールへの道筋なのだということを知った僕は結局、改めて最寄りの労金のATMへ赴き、手数料という名の授業料550円を支払い当初の目的を果たした。そう、これは僕の成長の話である。