カッソーロ

家族と平和をこよなく愛する平凡な男の日記。だいたい、言いたいことを書いてます。

息子が旅立った日

息子は小学5年。11歳にもなるというのに遊びに行くのにもぬいぐるみを手離さないほどの甘えん坊な性格に育ってしまった。どうして、こんな風になってしまったのだろう。

僕が甘やかし続けてしまった結果ではないかと、ひそかに反省しているのだが、愛情があふれて止まらない。学校に行っている間も息子の下校時間が待ち遠しい。

ここ最近は不安定な天候が続いている。今日も空を見上げればガラの悪そうな雲たちが居座っている。午後3時が過ぎたところに猛烈な雨が降りはじめた。ゲリラ豪雨というやつだ。

このままだと息子の下校時刻と重なってしまう。いてもたってもいられなくなった僕は立ち上がり車の鍵を手に取った。

学校の前に路駐車するわけにいかないので「えっ私も?」という驚きの表情を浮かべる妻を強引に乗せて学校へ向かう。

下校の予定時刻の数分前に到達したところ、さっきまでの雨は弱まり、ついにはやんでしまった。

しかし、どこの家でも似たようなことを考えるようで、傘を持つ親の姿がまばらにあった。校門から続々と出てくるランドセル姿の子どもの中から息子の姿を探す。

にこやかに帰宅する親子たちを見送ることおよそ1時間。ついに息子はあらわれなかった。 きっと、道中のどこかですれ違ってしまったのだろうと思うと同時に今度は早く家に帰ってやらねばという気持ちが込み上げる。

ちゃんと鍵を開けれただろうか。今頃、家で暑くないだろうか。クーラーをつけれているだろうか。飲み物を飲めているだろうか。

焦る気持ちにおされてアクセルを強く踏む。車庫には入れず自宅前に車を止め一足先に部屋に戻らせた妻からの連絡を待つ。

電話が鳴るのにそう時間はかからなかった。おそるおそる電話に出ると意外な事実が告げられた。部屋のどこにも息子の姿が見当たらない。そう、部屋にいるはずの息子の姿はそこにはなかったのだ。

代わりにあったのは友達の家に遊びに行くと書かれた手紙。電話を切った後、車内で成長したものだと感慨にふけっていたところ、妻から追加のラインが届く。 『シャワーも浴びて行ったみたい』

アハハ。